「雨の中・・・吹く風と共に」


男「すごい雨だなぁ〜〜」
赤い傘を手に取ると、その傘をじっと見てしまう
男「・・・・・」
ゆっくり傘をさすと建物から出た
男「ん?・・・」
背中に気配を感じて振り向くが誰もいない
すると道路をはさんだ反対側の通りに
傘を差さずに走る彼女がいた・・・
男「・・・ばかだなぁ〜俺は・・・」
傘を畳むと一気に走り出した
 
社会人になって一年
ふとしたきっかけで、高校から続けていたサッカーを
町のサークルでする事になった
社会人になる事で溜まるストレスの発散としては最高で
そんな時間が大切でもある
そこで高校の時のマネージャーと再会した。
男「もしかして・・・」
女「あ〜〜」
これが再会の言葉・・・今思うと笑える。
めんどうみが良く、汗をかくとちゃんとタオルも用意してくれてた
今ではちゃんと化粧もして、美人になっていたりもした
最近は一週間に一度来る事が楽しみでいて
マネージャーとの話も楽しくて
男「今日も良い汗かいたなぁ〜〜」
女「頑張ったじゃん、ほらっ」
ふわふわのタオルを渡してくれる
男「サンキュ!、昔から気が利くなぁ」
その時同じチーム名とにもこの内容が聞こえたみたいで
知り合い「なんだぁ〜二人はそんな昔からの付き合いかぁ〜」
ふざけたように俺と彼女の方を叩く
ついついのってしまい
男「そうだよなぁ〜、なぁ?、長い付き合いで・・・はははは」
そう言いながら彼女を抱きしめた
女「ばか!」
タオルを取られると、そのまま走って行く
男「ん?」
知り合い「追いかけなくていいのか?」
男「別に・・・」
(別に冗談なんだし、そんなに怒らなくてもいいじゃないか)
心でつぶやいたが、その日を境に彼女の姿は現われなくなってしまった
 
それから数週間が過ぎ、練習試合の日になる
もちろん彼女の姿もなく、雨までもが降ってきた
男「来てないなぁ」
試合も始まりなんとかうちのチームは勝つことができた
でも、何故か嬉しさも半減してる
昔から試合となれば彼女の応援と
ふわふわのタオルがあった
試合の後着替える為にロッカールームへ向かった
ロッカーを開けると、赤い傘が入れてあった
男「ん?、俺のじゃないけど」
誰かがわざわざ置いて行ってくれたのだろうか?
そのまま傘を持つと建物の出口へ向かった
 
男「はぁはぁ」
雨の中思いっきり走る
そして・・・追いついた
男「何してんだよ」
彼女はびくっとすると振り向いた
女「・・・・・・なによ、別にいいでしょ」
慌てたようにそう言った
男「ごめんな、この間さ」
女「・・・・別に・・・・」
男「そして今日応援に来てくれてたんだな」
女「・・・・・」
男「俺さぁ、おまえがいないと良いプレーできなくてさぁ」
女「何よ・・・」
男「俺さわかったんだ・・・やっぱ・・・」
女「・・・」
それから短くて長い沈黙が続いた
その時、突風と共に雨が沢山降ってくる
男「とりあえず、傘ささないと意味ないしな」
そう言って傘を差すと彼女は隣に立った
女「きゃ!」
今度は車のはじいた水しぶきが彼女を濡らす
それと共に俺に寄りかかった
(よし・・・言うぞ)
男「俺さ、昔からお前が好きだった・・・今もな」
彼女は俺をじっと見ると、赤くなった
女「ばか・・・・」
そのまま二人は寄添いながら雨の中を歩く
この雨がやまない事を祈りながら・・・