「コスモス・・・その向こうへ風と」
男
| 男「んん〜〜〜やっぱ気持ちいいなぁ」 |
| 2時間のドライブで山奥に有る「こすもす園」へ辿り着いた。 |
| ここへ来るのは1年ぶりで、あれあら半年になる |
| 良い気分転換になるだろうと、最近買ったデジカメを片手に来た。 |
| 開園時間ちょうどに来てみたが、思った以上に人がいて |
| もちろんみなさんカメラを持っていた |
| 男「やっぱ多いなぁ、まぁいっか」 |
| 入園料を払うとこすもす園の中へ入いる |
| 目の前に広がる景色一面がこすもすで埋まっていた |
| 男「・・・・・」 |
| 思わず言葉を無くしてしまう |
| 去年来た時は昼過ぎで人が多く、今は人がほとんど居ないので |
| 見える限りこすもすの花だけになっていた |
| カメラの電源を入れると撮り始める |
| 最近思う、カメラで景色を撮る時っていうのが何も考えずにいれる |
| ある意味ストレス発散へ繋がっている事に |
| 20枚ほど撮る頃にはカメラの視界にだいたい人が入ってしまう |
| 背の高いこすもすを少しアングルを下げ下からこすもすの花と |
| 周りの景色を合わせて撮ってみようとした |
| 息を止めて”ここだ”と言う一瞬を待つ |
| (ここだ!) |
| その瞬間を見極めシャッターを押した |
| が、風に揺れるこすもすの向こうで、こちらを撮ってる女性が入ってしまう |
| おそらく相手も撮ったように感じてしまい、軽く頭を下げてみた |
| すると相手も頭を下げる |
| その場を離れ次のスポットを探した。 |
| なんとか60枚ほど撮り終えるとちょうどお昼になる |
| こすもす園の中心に公園があり、そこのベンチで一休みした |
| 寒かった風も太陽の温かい光の中でちょうどいい |
| 思わず眠くなってしまうほどだった |
| カメラを直すと人の多くなった風景を見る |
| そしてその風景の中に一年前の自分を見つけてしまった |
| 一年前付き合う彼女と、彼女の好きなこすもすを見にここへ来た |
| けれどその半年後に別れてしまった |
| もちろん引きずる事は好きでは無いけど、いまだに心のどこかで何かが・・・ |
| 思いにふける中、目の前に女性が背を向け立っていた |
| どうやらこの風景を撮るつもりだろう、三脚を立てて撮っていた |
| すると強い風が吹き彼女の帽子がこちらへ飛んできた |
| 彼女も慌ててこちらへ振り向く |
| 飛んできた帽子を拾うと彼女へ差し出した |
| 女「どうもありがとうございます」 |
| 男「はは、いえいえ」 |
| 男・女「あっ・・・」 |
| 二人とも同時に止まってしまう |
| 女「さっき写真を撮っていた・・・」 |
| こすもすを下からのアングルで撮った時に、その先にいた女性だったのだ |
| 男「さきほどはすみませんでした、まさかこちらを撮ってる人がいるとは知らずに」 |
| 女「いえいえ、こちらこそすみません」 |
| 彼女は隣に座ると話し始めた |
| 男「でも、同じ事を考えてたんですね」 |
| 女「ん?」 |
| 男「下からのアングルで写真を撮った事ですよ」 |
| 女「確かに・・・」 |
| 二人が違う方向から中腰になって撮っていたと思うと思わずおかしくなった |
| 男「くくく」 |
| 女「ははは」 |
| 少し笑っていると、何故か親近感を感じてそのまま話し始めた |
| 男「毎年ここへ来てるんですか?」 |
| 女「んん〜〜はいっいて言えないけど、実は去年からなんです」 |
| 男「・・・・・実は私もなんですよ」 |
| お互い目を合わせるとまた笑い出す |
| 暖かい風と一面こすもすの風景の中で、久々な感覚を確かめながら笑った |