「風の吹く公園で」

もうここへ通い始めて5週目になった
何故かと言うと、ここへ毎週犬の散歩へ来る人と会う為だ
日陰にもならないベンチに座りゆっくり本を読んでいたら
毎週同じ時間に来る・・・彼女が現われた
もちろん名前もしらない、ただ知るのはここへ来る事だけ
可愛い犬と共に歩いている
いつかは声をかけようと思うが、それはいつになる事だろう
公園は小さな子供たちの遊び場
その子供たちを眺めながら歩いている
そんな彼女が眩しくて気になって
そして彼女が一番近づくこの瞬間
恥かしくて顔を上げることができない
心臓の音がはっきりとわかる
足音が近くなり・・・・・・遠くなる
そんな時、子供たちの遊んでいたボールが転がってきた
その先には彼女の姿が
彼女は白い手を差し伸べてボールを取ろうとしたが
強い風が・・・・・・そのままボールはこちらへと転がってきた
そっとボールを拾うと子供たちへ返した
「おにいちゃん、おねぇちゃんありがとう」
屈託のない笑顔でその子供は言った
思わず彼女と目が合い、笑った
(今だ・・・せっかく・・・今だ・・・)
思う事と現実は大きく違いその一瞬が永遠に感じる
しかし、その時奇跡が起こった・・・
女性「隣に座ってもいいですか?」
男性「えっ、、あっ、、、はい、どうぞ」
あまりにもびっくりして慌ててベンチの端へと移動する
女性「良くこのベンチに座ってますよね」
笑顔でそう話してきた
日陰にもならないベンチに座りながら
いつもと違う時を過ごす・・・・・