「画面の向こうで・・・NETの風」


静かな夜パソコンの画面の前で微笑んでいる
毎日のささやかな幸せと言ってもいい時間
昼間は仕事の顔で過ごし
人間関係と仕事との狭間で枯れた笑みで歩いている
はじめはNETなんて・・・と思っていたけど
今では無くてはならないものとなった
相手は誰か知らない
ましてや性別など全てが嘘でも通る世界
そこにはまったくの真実でさえ存在しないかもしれない
それでも、その世界でかかわる人たちとの交流が
今では楽しく、新鮮でもあった
「さて、テレホーダイの時間だな」
今日もNETの世界へ入って行く
 
こんな生活が毎日続く中
ある人と出合った
それは女性で有り、とても興味が沸く存在
毎日この23:10にお互いの存在を探しあい
そしていろんな話をする
今では二人だけのチャットで話すほどにもなった
男「おっ居た」
それだけで、昼間とはぜんぜん違う笑顔が漏れる
りょう[こんばんは]
さくら[こんばんは]
りょう[今日も会えたね]
さくら[ふふ、そうね]
こんな会話から始まる
彼女のことでわかってると言えば・・・女性で25歳だと言う事だけ
それ以上は聞くこともなかなかできずに今まで話してきた
でも・・・文字の世界を抜けてみたいと言う願望が今は有る
何に惹かれたか?そう聞かれると困る
何故なら文字でしか話す事もないのだから
それでも惹かれてる事は事実でいて・・・・・
そう言う意味ではこの世界はあまりにも重い
ただ、今という”時”を共通して
お互い画面を見つめながら文字で話していると言う共感を感じる事だけ
りょう[あのさぁ]
さくら[何?]
・・・・・沈黙・・・・・
さくら[どうかした?、明日早起きなら寝ようか?、また話せるし]
りょう[いや、違うんだ]
・・・・・再び沈黙・・・・・
男「ふぅ〜、やっぱ言えないなぁ」
なかなかキーボードへ自分の想いを打ち込む事ができない
”NETの世界”という事実が重くのしかかって来る・・・
じっと画面を眺めながら笑みも無くなっていた
キーボードを打つ手が震えてくる
男「・・・・ふぅ〜〜〜〜・・・・」
深呼吸をすると何故か暖かくなれた
そして勇気も湧いてくる
そして・・・
りょう[会いたいね]
さくら[会いたいね]
男「ん!!」
思わずびっくりした
何故なら書き込んで現れた文字が同時だったから
慌てて書き込みをする
りょう[会えるかな?]
さくら[会えるよ、素直に会いたいって思うもの]
心臓がばたついた
思わずこぶしまで握っている
天井を見上げると再びまた”会いたい”と言う想いが強くなった
再び画面を見るとキーボードを打った
この出会いが最高のものになることを信じて