「温泉上がりにて・・・湯けむりと風と」


男「よしよし少ないな」
この町へ引っ越してから3ヶ月
やっとの思いでお気に入りの温泉を見つけた
もともと温泉が好きで、前の町でもお気に入りの温泉へ行っていた
この温泉は人気があるらしく、いつも人が多い
所が日曜日の夜は案外少ない事に気がつき
毎週日曜日の夜に来ていた
そしてお気に入りの露天風呂に入り一週間の疲れを癒す
男「はぁ〜〜いい湯だ・・・」
ありきたりなせりふが少し笑えた
温泉をあがるとまずは自販機へ向かう
そして毎回必ず飲むコーヒー牛乳を買った
ビンを片手に両足を45度に開き
もう片方の手を腰においで一気に飲み干す
お決まりのポーズだった
女性「くすくす・・・・・くすくす・・・・・」
背後からかすかな笑い声
思わず慌てて飲み干すとビンを置いた
そしてゆっくり振り返ると一人の女性が立っていた
一応飲む前は周りを確認したつもりだったので正直恥ずかしい
女性「あ・・・すみません笑っちゃって」
男「いえ・・・確かにおかしいだろうし」
ばつの悪さにそうしか言えなかった
女性「よくこの温泉へ来るのですか?」
男「ええ、一週間の疲れをって週末に」
さっきのばつの悪さとは別に彼女は次々と話しかけてくる
それに合わせて話していた
不思議な雰囲気を持った女性だった
それから数分経った後、彼女の前に一人の男性が現れた
男性「そろそろ行こうか?」
男性は俺を少し見ながらそう言った
女性「あ〜そうね、話楽しかった」
そう小声で残すと2人は去って行く
男「だろうな・・・」
重い腰を上げると温泉を後にした
一週間の疲れがどっと出た
 
次の週末、また温泉へやって来た
もちろん夜遅くに
人は少なく、お気に入りの露天風呂へつかると湯けむりの向こうに
綺麗な星空を眺めた
男「ふぅ〜〜」
疲れを取ると共に思い出してしまう
そう、一週間前の出来事を
あごが湯につかるぐらいにつかると、さすがに湯けむりが強くなり
星空が見えない
すると少し強い風が吹き湯けむりが無くなった
男「・・・・・」
目の前に綺麗な星空がまた現れる
その星空を見るだけで元気が出てきた
露天風呂から上がるとそのまま温泉からあがった
毎回のお決まりのごとく自販機へ向かう
あたりを見回してもそう人は居なかった
もちろん彼女の居ない
男「はは、なに考えてんだか」
そう自分に言い聞かせるとコーヒー牛乳を一気に飲み干す
もちろんお決まりのポーズをつけて
女性「くすくす・・・くすくす・・・」
背後に女性の笑い声が
思わず飲み干す前に振り返った
男「・・・・・」
先週ここで会った彼女だった
女性「この間はどうも、今日もその格好が見れて光栄です」
飲み干したビンを捨てると椅子に座った
女性「毎週来てるんですね」
男「まぁ」
また彼女はきさくに話をしてきた
でも、先週のように彼氏が来たら・・・そう思った
男「あの、そろそろ彼氏さんが来たらやばいんじゃ?」
女性「ん?・・・」
その時だった、目の前に男性が立った
彼女は立ち上がるとこう言った
女性「先に帰ってて、もう少し話して帰るから」
その言葉にびっくりする
彼女「私は彼氏いませんよ、あれは弟です」
彼女はにやりとそう言った
男「そ・・・そうですか」
思わず笑顔になりそうなのをじっと耐えた
それからは笑顔で話しをできた
そして思う、また来週も来ようと