「約束の場所・・・変らぬ思いと風と」
男
| 2人で決めた約束 |
| もし2人の間に何かあったら・・・ |
| 約束の場所で、かならず全てを解決する |
| 仲直りしたり、一緒に考えたり |
| 初めてキスをした約束の場所で |
| あれから半年・・・長いようで短かった |
| 今は仕事に集中して頑張ってるつもり |
| 男「はぁ」 |
| 何故か頭の中では彼女の事を思い出す |
| 今でも考えるけれど、答えが出ない |
| 言える事は付き合った年数が長く |
| お互いの存在が当たり前で・・・ |
| 恋とか愛とかそんな存在ではなくなったように感じた |
| だから・・・別れた・・・ |
| でも、こうして離れて過ごす時間の中で |
| 時が重なる毎に気が付くこの想い |
| けれど、話し出したのは俺・・・もうしかたがないんだ |
| 男「よう」 |
| 女「何よぉ、しかもこの場所でさ」 |
| 男「あのさ、俺達って今どうなんだろう?」 |
| 女「ん?・・・・・」 |
| 彼女の表情が少し変った |
| 男「このままじゃ平行線のように感じるんだ」 |
| 女「それで?」 |
| 少し間が空き、そして話し出す |
| 男「別れよう、お互いの為に」 |
| 彼女は目を閉じゆっくり話し出した |
| 女「それって考えた結果そう判断したんだね」 |
| 男「あ〜」 |
| 女「そっか・・・分ったわ」 |
| 彼女はくるっと背中を見せると歩き出す |
| 女「さよなら」 |
| その一言を置いて |
| それからはもちろん一度も連絡を取った事は無いし |
| 会ってもいない |
| 当たり前と言えばそれだけ |
| そしてもう半年が過ぎた |
| 自分で言い出したのに、こんなに後悔してしまうとは |
| 正直言って自分でもびっくりだった |
| 風の噂では、彼女には新しい彼氏ができたらしい |
| それを聞いた時は正直落ち込んだけれど |
| 今となっては、だからどうって何もできる訳じゃない |
| 仕事を終えて家の近くの駅まで電車に揺られる |
| 駅から出ると家に向かう道とは逆方向に身体が向いた |
| その方向は”約束の場所”がある道 |
| 今まで何度も行こうとはした |
| けれど自分から言い出した今の状況そこへ向かう意味は無い |
| 男「あ〜なんだろうなぁ〜」 |
| 何故かその方向を向いた自分に少しいらいらしながら |
| それでも家の方向へは向けない自分が居た |
| 今日は俺の誕生日 |
| サイフから一枚のコインを取り出すと |
| 親指ではじきやがて手の甲へ落とした |
| 男「何・・・やってんだか・・・」 |
| 自分では決めれないこの選択をコインに託す自分は |
| やはり今でも彼女の事を好きなのだと思った |
| そして手の甲に有るコインは表 |
| ゆっくり路地を曲がり、公園に出た |
| 小さな公園だけど、小さな子供と親が遊んでる風景が平和を感じた |
| 1人の子供が蹴ったボールが転がって来る |
| ボールを拾って渡してあげると元気一杯の声で |
| 子供「おにいちゃんありがとう!!」 |
| と、大きくお辞儀すると走って行った |
| それを少し眺めながら約束の場所へ向かう |
| 誰も居ないその場所 |
| 男「俺は何を期待してたんだか」 |
| 壁に寄りかかるとそのまま滑り落ちるように地面に座った |
| 男「はぁ」 |
| 夕日で赤く染まった空を見上げると |
| 大きなため息が出る |
| 男「!!」 |
| 俺は慌てて立ち上がった |
| そして壁の方へ向いて |
| 壁を指でなぞった |
| そこには・・・ |
| ”12月14日 何よ!!” |
| ”1月14日 ばぁ〜か” |
| ”2月14日 もう!!” |
| ”3月14日 知らない!!” |
| ”4月14日 ばかばかばか” |
| 涙が溢れた・・・この字は彼女のもので |
| 毎月こうしてこの場所へ来ていたのだと |
| 何かがあれば、この場所で2人で考えるって |
| 2人で決めた約束の場所・・・だったのに俺は・・・ |
| そして今日は5月14日 |
| 女「ばぁ〜か、遅いよ」 |
| 夕日をバックに・・・彼女はそこに居た |
| 女「誕生日おめでと」 |
| 涙を流しながら、それでも満身微笑で |
| 2人で決めた約束 |
| もし2人の間に何かあったら・・・ |
| 約束の場所で、かならず全てを解決する |
| 仲直りしたり、一緒に考えたり |
| 初めてキスをした約束の場所で |