「指輪・・・届かなかった風」


遠くでこちらを見る視線を感じる
当然といえば当然だろう
海岸沿いに有るお気に入りの喫茶店
そして思い出のある場所
一人テーブルに座りコーヒーを飲んでいる
それだけならいいが、テーブルの上には指輪が置いてあった
そう、これは明るい未来を作る為の指輪
男「ふぅ〜」
ため息を漏らすと、5ヶ月前の事を思い出す
 
自分の仕事がなんとか軌道にのり
年齢的にもいい時を迎えた
付き合った年月も長く・・・そろそろだと決心もした
勢いをつける為、婚約指輪も自分で買いにいった
でも・・・拭い去れない不安もあったのも確かだった
それでも彼女を旅行に誘い
宿泊したホテルで寝る前、夜景を眺めながら
男「綺麗な夜景だね」
女「そうね、どうしたの?」
男「・・・・あのさ」
強い想いと共にプロポーズをした
彼女は明らかに驚きの表情と共に困惑の表情・・・
その結果婚約指輪を渡す事無く”時間”を与える事にした
何故か嫌な予感が当り、怒りも覚えた
悲しい事と、これが運命なのか?と
そして・・・二人は別れる事になった・・・
 
テーブルから立ち、お金を払うと喫茶店の裏から海岸へ通じる道を降りた
岩場と砂浜が有り、そこは二人にとっても大切な思い出の場所
男「はぁ〜〜」
溜息が止まらない
自分が目指した未来はただ一つ”幸せな家庭を”持つ事
愛があったからこそ乗り越えたれた世間の厳しさ
目標に向かって頑張れたのも
笑顔があったからこそ
男「今更考えても仕方無い事」
それは嫌というほどわかっていた
だからここへ再び来たのだ
この”指輪”を・・・捨てるべく
ゆっくりとごつごつした岩場の間に置くと
その場を後にした
階段を上がる途中岩場を振り返り見る
男「ここは、二人だけの場所」
ここは生涯二人だけの場所
また来る時は、笑顔で来たいと思う
こぶしを強く握りながら
車に乗った
 
不思議な事に・・・連絡も一度でさえとらなかったのに
ふとしたきっかけで再会・・・した
男「お久しぶり、元気にしてた?」
女「ええ」
男「話聞いてさTELしたんだ」
なんでまた再会したのだろう?
これも運命だとすれば・・・
今できる事をしてあげよう
ただ・・・それだけ・・・